ただのOLのブログ

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ミュージカル『マタ・ハリ』再演 大阪公演 感想

 再演されたミュージカル『マタ・ハリ』観劇しました。
ただただネタバレしかありません。

 その前に私の個人的な話ですが、どの舞台も前知識なしで見たいため、公式HPのあらすじやインタビュー記事等をできるだけ目に入れないようにしています。そして観劇後落ち着いてから一気に読み漁るという風にしています。ちなみに今現在インタビュー記事等はまだ、クリックして開いているだけで一切読んでいません。感想とかをつらつら書いていますが、記事等を読んでいないがゆえに見当はずれなことを書いている可能性が十分にあります。そういうところがあったら生暖かい目でそっとしていただければ。いつかの未来の私がきっと恥ずかしさで布団の中で悶え苦しんでいることでしょう。

 それでは公式HPのあらすじから。

1917年、第一次世界大戦の暗雲たれこめるヨーロッパ。
オリエンタルな魅力と力強く美しいダンスで、パリ市民の心をとらえて放さないダンサーがいた。名は、マタ・ハリ
彼女の人気はヨーロッパ中におよび、戦時下であっても国境を越えて活動する自由を、手にしていた。
その稀有な存在に目をつけたフランス諜報局のラドゥー大佐は、彼女にフランスのスパイになることを要求する。もし断れば、人生を賭けて隠してきた秘密を暴くことになる、そう、ほのめかしながら……。自らの過去に戻ることを恐れ、怯えるマタ。
同じ頃、彼女は、偶然の出来事から運命の恋人に出会う。偵察機パイロットのアルマンは、彼女の孤独な心を揺らし、二人は、ともに美しい夜明けのパリを眺め、人生を語りあう。
一方ラドゥーの執拗な要求は続き、一度だけスパイをつとめる決心をしたマタ。彼女の世話を続けてきた衣装係のアンナの祈りの中、公演旅行でベルリンへ向かい、ドイツ将校ヴォン・ビッシング宅で、任務を無事遂行する。しかし、謀略はすでにマタ・ハリの想像を超えて進み、アルマンへの愛に目覚めた彼女の運命を、大きく歪めようとしていた…。

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 この作品めちゃめちゃ好きです。まず、すべての楽曲がドタイプでした。
特に好きなのは「二人の男」で(たぶん合ってるはず)、♪彼女が君から離れない~…から以降のメロディラインがめちゃめちゃに好き。それと「わたしは戻らない」のラドゥー大佐への対応を迷ってるところと♪暴かれるくらいなら死を選ぶ〜のところのメロディーラインも好きです。ちなみに歌詞があってるか自信はありません。あと、カーテンコールの時の大佐の曲がかっこよくて痺れる。

 そしてストーリー(?)ですが、推しが演じているというひいき目ももちろんあると思いますが、ラドゥー大佐好きです。
 ストーリーの最初から順に書いていくと、1幕最初の方のパーティーのシーンのところは本当に不憫でした。そりゃ最初から上司である首相に詰められることは明らかなパーティーに乗り気で参加なんてできるわけないし、本音では一人でいたい気持ちは痛いほどにわかります。でもラドゥーの妻であるキャサリンにとっては、そんなことわかるはずがないから不機嫌になるし…。…いや、書いててその時すでに大佐はマタハリの踊りを見て、マタハリのことがずっと頭にあったからという可能性もあるなと思いましたが、とりあえずは上司に憂鬱路線で行きます。

 マタハリのスカウトは、持ってる情報量はこっちのほうが圧倒的に有利で失敗するはずがないっていうぐらいの余裕でしたね。そしてマタハリをアルマンと大佐の別視点から監視する、というのがわかったときは、仕事できる人なんだなと思いました。やるぅ。
 もうそこからは、アルマンに対して「どれが嘘でどれが本当なの~~~?」と思いながら見ていて、”小さいころ親からよく殴られた”という過去もマタハリに近づくための嘘なのかな?と思っていましたが、どうやら嘘じゃなくて本当の過去っぽい?嘘つけなさそうだし(偏見)。
 でもそうするとですよ、マタハリに近づく人物はアルマンだと任命したのは大佐のはずだから、マタハリを調査し接近するためには近しい過去を持つ人物が適任と分析し(本当はもっと別の要素もあると思いますが)結果お見事だったわけですよね。すごすぎ。いや、ここは私の想像でしかないですけどね。スパイものの小説を読んだときに、スパイ活動で別人物に成り代わる際は生まれたときから現在までの経歴をすべて作り上げるとあったのでそれに影響されて…。

 あとめちゃくちゃ印象に残っているのが、マタハリがベルリンからリヨン経由でパリへ戻ったシーンです。戻ってきたマタハリに対して大佐が「遅いじゃないか!!」と怒ったのがマジで社内のとある上司の怒り方にそっくりすぎて、思わず息をのんでしまいました。会社の中じゃないし仕事中でもないのに顔が浮かんできそうになりました…危ない。
 そしてマタハリとアルマンとで問い詰め方が全然違いすぎて^^部下とそうでない人、マイクロフィルムの持ち帰り役(実際に持ち帰った)とその監視役(指示とは違う経路での帰還を許した)という役割の違いがあるからかわかりませんが、アルマンに対してあんな逃げ道を全部塞いでから本当に聞きたいことを質問するのえげつなさすぎ…。いやまぁ仕事なんだからいいと思いますけどね。でも途中から思わずやめてあげてよ…って思っちゃったし、アルマンに対してはそういう時は嘘ついたって全部ばれるんだから素直に言いなさいって思っちゃいましたね。普通に仕事思い出しかけた。

 前線に送られたアルマンを探してマタハリが大佐の自宅へ押しかけたところ、大佐も驚いてましたが、私も普通にびっくりしました。どうやって大佐の自宅調べたの…?普通公開されてないものでしょう。まぁそれは置いておいて。
 大佐自身、自分はマタハリにどう思われているかは理解していると思いますがそれでも、マタハリから「お願い」と言われたらそのお願いを聞いてあげたくなるの、とても人間味があっていいと思います。ただその後のマタハリへの迫り方が(ねっとり)みたいな感じで、わぁ、すごいなぁ(╹◡╹)。冷静になればマタハリが大佐を頼ったのは「フランス軍諜報局の大佐」だからであって、「ラドゥーだから」ではないってわかりそうだけどマタハリと目があったらもうダメやったんか…?大佐であったとしても諜報局以外の大佐になったらマタハリにとってはただの人になると思うんですよね。
 大佐がいつからマタハリにいつ惹かれていたのかはっきりとよくわかっていないんですが…。妻キャサリンが首相の娘というところを見ると、お見合いのようなものでほぼ決定事項として進められたんだろうなと想像します。だからこそ一目惚れ(?)したマタハリに気持ちをぶつけたくなるのは、わからんでも…ないのかも???

 最後はドイツ軍にマタハリフランス軍のスパイだとばれて、ドイツ・フランス両軍がマタハリ逮捕に動くわけですが…。スパイとばれてしまったら死んだも同然だから何も殺さなくても、と思わなくもないですが首相が大佐の出世を人質(?)にフランス軍士気向上のために逮捕せよと命令するの、なかなかにえげつないことやってる…。結果だけ見ればその命令のために大佐は裁判で見事マタハリを悪人に演出して成功したように見えますが、まぁ…ね。
 嫌な奴に見えますが、仕事だけを見ればどれもちゃんとこなしていておかしなことはしていないはずなのに、すごく不器用な人に見えてしょうがないのはなんででしょう。戦時下でなければ、と思ってしまいますが、もしそうだったらきっと二人は出会うことはなかったでしょうし…どうしようもないたらればを考えてしまいます。歴史としてはドイツは負け、フランスは勝つわけですが、ラドゥー大佐にはマタハリ処刑以降、頭の中にマタハリがずっといるかもしれないけれど幸せに過ごしてほしいなと、その後のifを想像してしまいます。この贅沢な余韻に浸りつつ、発売されるDVDを楽しみに待ちたいと思います。

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